元PM行政書士がデジタルガバナンスコード3.0をわかりやすく解説|DX経営の3つの視点と5つの柱

その他

デジタル技術の進化が加速する中、企業の競争力は「DXをどう進めるか」で大きく変わり始めています。
経済産業省が改訂したデジタルガバナンスコード3.0は、企業がDXを経営として進めるための実践的な指針です。

前職でSIerのPMとして多くのプロジェクトを支援してきた経験から、経営者のDX推進を支援できる立場として、デジタルガバナンスコードは非常に有用だと感じています。

この記事では、デジタルガバナンスコード3.0の要点をコンパクトに整理し、経営者がDXを進める際のヒントをお届けします。

はじめに

デジタル技術の進化が加速し、企業を取り巻く環境はこれまで以上に変化のスピードを増しています。
経済産業省が改訂した「デジタルガバナンスコード3.0」は、こうした状況の中で企業がどのようにDXを進め、
どのように価値を生み出していくべきかを示した実践的な指針です。

DXは単なるIT導入ではなく、経営の方向性を実現するために、データとデジタル技術をどう活用するかを考える取り組みです。
そのため、経営者が主体となって判断し、組織を動かしていくことが欠かせません。

私は前職で大手SIerのPMとして、システム導入や業務改善の現場に長く携わってきました。
現在は行政書士として、各種申請の書類作成を中心に活動していますが、プロジェクトの現場で培った経験と組み合わせることで、DX推進やDX認定、補助金申請などの支援にも価値を提供できるのではないかと考えています。

本記事では、デジタルガバナンスコード3.0のポイントを整理しながら、経営者がDXを進める際に参考となる視点やステップをわかりやすく紹介します。

デジタルガバナンスコード3.0とは

デジタルガバナンスコード3.0は、経済産業省が企業のDX推進を後押しするために示した「DX経営の指針」です。
2024年の改訂では、DXを単なる効率化ではなく、企業価値向上のための経営戦略として捉えることがより強調されました。

デジタルガバナンスコードの特徴は、企業規模や業種を問わず、どの企業でもDXを進める際の「道しるべ」として使える点にあります。
経営者が押さえるべき視点や、組織として取り組むべき項目が体系的に整理されており、DXをどこから始めればよいか迷っている企業にとっても有用です。

経済産業省が公開している「デジタルガバナンスコード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」では、次の様に述べられています。

DXに投じる資金はコストではなく、価値創造に向けた投資である
DX推進はIT部門ではなく、経営陣や取締役会の役割である

このように、DXを“経営そのもの”として捉える姿勢が全体を通じて示されています。

デジタルガバナンスコード3.0は「DX経営に求められる3つの視点」「5つの柱」という構造で整理されています。

  • 3つの視点は、経営者がDXを進める際に持つべき考え方
  • 5つの柱は、企業が実際に取り組むべき具体的な項目

この2つを組み合わせることで、「DXを経営としてどう進めるか」を体系的に理解できるようになっています。

DX経営に求められる3つの視点

デジタルガバナンスコード3.0では、DXを「経営として進める」ために、経営者が特に意識すべき考え方として3つの視点を示しています。
これは、単なるIT導入に終わらせず、企業価値向上につながるDXを実現するための“思考の軸”です。

経営ビジョンとDX戦略の連動

「デジタルガバナンスコード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」では、次の様に述べられています。

持続的に企業価値を向上させるためには、経営ビジョンと表裏一体で、その実現を支えるDX戦略を策定し、実行することが不可欠である

DX戦略はIT部門が作るものではなく、経営者が自社の未来像を描き、その実現手段としてデジタルをどう使うかを示すもの、とされています。

As is – To be ギャップの定量把握・見直し

「デジタルガバナンスコード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」では、次の様に述べられています。

課題ごとにKPIを用いて、目指すべき姿(To be)と現在の姿(As is)とのギャップの把握を定量的に行う必要がある

この視点は、DXを「なんとなくの改善」に終わらせず、経営ビジョンと整合した戦略に仕上げるための重要なステップです。

企業文化への定着

「デジタルガバナンスコード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」では、次の様に述べられています。

持続的な企業価値の向上につながる企業文化は、所与のものではなく、DX戦略の実行を通じて変革し、醸成されるものである

つまり、DXは「仕組み」だけではなく、社員の行動や意思決定のスタイルまで含めた変革で、経営者がその文化づくりを主導することが求められています。

3つの視点が示すもの

この3つの視点は、「DXを経営としてどう進めるか」を考えるための土台です。

  • ビジョンと戦略がつながっているか
  • 現状と目指す姿のギャップを把握できているか
  • DXが企業文化として根付く仕組みがあるか

これらを意識することで、DXは単なるIT導入ではなく、企業価値向上につながる“経営の取り組み”になると考えられます。

5つの柱で理解するDX経営の実践ステップ

デジタルガバナンスコード3.0では、DXを経営として進めるための具体的な取り組みを「5つの柱」に整理しています。
「3つの視点」が“考え方”だとすれば、この5つの柱は“実際に動くための項目”です。

企業がDXを進める際に、どこから着手し、どのように進めていくかを体系的に理解できます。

経営ビジョン・ビジネスモデルの策定

「デジタルガバナンスコード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」では、次の様に述べられています。

データ活用やデジタル技術の進化による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)も踏まえて、経営ビジョン及びビジネスモデルを策定する

つまり、DX推進によって自社の価値提供はどう変わるかを経営者自身が言語化することが求められます。

DX戦略の策定

経営ビジョン・ビジネスモデルを実現するための具体的な道筋がDX戦略とされています。
「デジタルガバナンスコード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」では、次の様に述べられています。

目指すビジネスモデルを実現するための方策としてDX戦略を策定する

ここでは、

  • どの領域でデータを活用するか
  • どの業務を変革するか
  • どのようにしてデータに基づく判断を行うか
  • どのようにデータを活用して既存ビジネスの変革や新規ビジネスの創出を目指すのか

などを明確にします。
経営者が主体となって検討することが強調されています。

DX戦略の推進(組織・人材・IT・セキュリティ)

DX戦略を実行するための体制づくりがこの柱です。
内容は大きく3つに分かれています。

  • 組織づくり
    DXを推進する組織体制を整備し、事業部門との連携や外部パートナーの活用を進めます。
  • デジタル人材の育成・確保
    デジタルスキル標準を参考に、必要な人材像を明確化し、育成・採用・配置を行います。
  • ITシステム・サイバーセキュリティ
    レガシー化を防ぎ、最新技術と連携できるIT環境を整備し、サイバーセキュリティ対策を経営リスクとして管理します。

成果指標の設定・DX戦略の見直し

DXの進捗や成果を測る指標(KPI)を設定し、定期的に戦略を見直す仕組みを整えます。
「デジタルガバナンスコード3.0 ~DX経営による企業価値向上に向けて~」では、次の様に述べられています。

DX戦略の達成度を測る指標を定め、指標に基づく成果についての自己評価を行う

また、取締役会設置会社では、取締役会がDX戦略の方向性を監督する役割も求められています。

ステークホルダーとの対話

DXの取り組みは社内だけで完結するものではありません。
顧客、取引先、金融機関、投資家などのステークホルダーに対して、自社のDX戦略や進捗を積極的に発信し、対話することが求められます。

DXは企業価値向上の取り組みであり、その価値を外部に伝えることで信頼性やブランド力が高まります。

5つの柱が示すもの

この5つの柱は、DXを「経営として進める」ための実践的なステップです。

  • ビジョンを描き
  • 戦略を立て
  • 組織・人材・ITを整え
  • 成果を測り、見直し
  • ステークホルダーと対話する

この流れを押さえることで、DX推進がは単なるIT導入ではなく、企業価値向上につながる取り組みになると考えられます。

DX認定制度とは

DX認定制度は、経済産業省が定める「情報処理の促進に関する法律」に基づき、デジタルガバナンスコードの基本的事項に対応した企業を国が認定する制度です。
DXに向けた準備が整っている企業であることを、国が公式に示す“お墨付き”といえます。

認定審査はIPA(情報処理推進機構)が事務局として運営しており、法人・個人事業主を含む すべての事業者が申請可能 です。

DX認定制度の位置づけ

DX認定制度は、デジタルガバナンスコードの「基本的事項」と対応しています。つまり、デジタルガバナンスコードの中で示されている以下の内容が、認定基準として審査されます。

  • デジタル技術を活用した経営ビジョン・ビジネスモデルの方向性を公表
  • 策定したビジネスモデルを実現するためのDX戦略を公表
  • DX戦略の推進に必要な体制・組織に関する事項を明示
  • DX戦略の推進に必要なデジタル人材の育成・確保の方策を明示
  • DX戦略において、ITシステム環境の整備に向けた方策を明示
  • サイバーセキュリティ対策の推進
  • 経営ビジョン・DX戦略を経営者自らが対外的に発信

デジタルガバナンス・コードを実践している企業=DX認定の対象となる企業、という構造です。

DX認定を取得するメリット

DX認定は、単なる“称号”ではなく、企業活動に具体的なメリットをもたらします。

ステークホルダーへの信頼性向上

認定企業はIPAのサイトで公表され、「DXに取り組む企業」として公式に示すことができます。
ロゴマークを名刺やWebサイトに掲載することも可能です。

中小企業向け金融支援と補助金審査の加点

DX認定を受けた中小企業は、金融機関のDX関連融資で金利優遇を受けられる場合があります。
また、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を申請した際の加点対象となります。

DX銘柄・DXセレクションへの応募資格

上場企業はDX銘柄の選定対象となります。
中堅・中小企業の場合は、DXセレクションへの自薦での応募が可能になります。

元PM行政書士が提供できる支援

DXを進めるうえで、経営者が悩みやすいのは「何をどう進めればよいか」という具体的な段取りです。
私は前職で大手SIerのPMとしてプロジェクトの現場を経験してきました。
現在は行政書士として書類作成の専門家として活動していますが、この経験を組み合わせることで、DX推進やDX認定に向けた取り組みをサポートできると考えています。

ITベンダー選定・RFP作成の伴走支援

DXを進める際、最初のハードルになりやすいのが「どのベンダーに依頼すべきか」です。
システム開発の現場で培った経験を活かし、

  • 要件整理
  • RFP(提案依頼書)の作成
  • ベンダーとのコミュニケーション

などを第三者の立場でサポートできます。
経営者の意図を正しく仕様に落とし込み、“ベンダー任せにならないIT導入”を進めるための伴走支援です。

DX認定取得の書類作成支援

DX認定は、企業価値向上や金融支援・補助金加点にもつながる制度です。
行政書士としての書類作成スキルを活かし、

  • 経営ビジョンやDX戦略の整理
  • 必要書類の作成
  • 申請プロセスのサポート

を行うことで、認定取得に向けた準備を支援します。

補助金申請のサポート(DX関連)

DX推進には補助金を活用できる場面が多くあります。
行政書士として、申請書の作成や要件整理を支援し、採択に向けた書類の精度を高めるお手伝いが可能です。

まとめ

デジタルガバナンスコード3.0は、DXを「経営の取り組み」として進めるための実践的な指針です。
本記事で紹介した3つの視点5つの柱を押さえることで、DXを単なるIT導入ではなく、企業価値向上につながる取り組みとして進める道筋が見えてきます。

DX認定制度は、こうした取り組みを国が公式に評価する仕組みであり、金融支援や補助金申請での加点など、企業活動に具体的なメリットをもたらします。

DXは、経営判断とITの専門性が交差する領域です。
その間をつなぐ役割として、行政書士としての書類作成スキルと、前職でのPM経験を組み合わせた支援が、企業のお役に立てるのではないかと考えています。

自社の未来を描くうえで、デジタルガバナンスコード3.0は大きなヒントになります。
DXを進める際の一助となれば幸いです。

Back to top