これまでの補助金申請の代行業務
補助金を申請するには、十数ページに及ぶ事業計画書を作成し、多くの添付資料を提出する必要があります。本業の傍ら、これだけの資料を揃えるのは大変であるため、申請の代行を依頼するケースが多いのではないかと思います。
これまで中小企業診断士や経営コンサルタントが行っていた補助金申請の代行業務。これが今後は違法になります。
コンサルティング業務として発注し、その業務の中で申請したとしても違法です。
違法となる根拠
発端はグレーゾーン解消制度に「事業として、無資格で補助金申請を代行することに問題があるか」という照会でした。
これに対して総務省は、「補助金申請に係る書類のうち、官公署に提出する文書について、報酬を得て業として行うには行政書士である必要がある。」という内容の回答をしました。
これにより、補助金の申請は行政書士の独占業務であることが明確になりました。
そして、2025年6月に成立した「行政書士法の一部を改正する法律案」により、違法となることが明確に定義されました。
第19条が「行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。」と改正されます。(太字部分が追加されました)
これにより、コンサルティング業務であろうと他の名目であろうと、行政書士以外の者が報酬をもらって補助金の申請を代行すると行政書士法違反ということになります。
ちなみに、第19条違反の罰則規定は、1年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金とされています。
今後の対応
改正行政書士法の施行は、2026年1月1日です。
これまでのスキームが行政書士法に違反している場合は、施行までに改善する必要があります。
事業主さんとしての今後の対応としては、以下のようになるかと思います。
- 補助金申請の代行を委託するときは、行政書士に委託する(中小企業診断士、経営コンサルタントに委託しない)
- 委託したコンサルティングのなかで補助金申請の話がでた場合、コンサルタントに申請を任せるのではなく、補助金申請の部分だけ切り出して行政書士に委託する。
(コンサルタントからの補助金の提案だけであれば、行政書士の独占業務に抵触せず、行政書士法違反にはなりません)
私ども行政書士も補助金申請などを通じて、事業を進めるお手伝いができたら嬉しいと考え、日々研鑽に努めています。
是非、お声掛け頂けたらと思います。